裁判員は何を裁くのか

 初の裁判員制度での裁判が行われた。ようやく自分なりに制度が理解できたように思う。



 裁判員が下す判断は2つの段階がある。1つ目は有罪か無罪か、2つ目は有罪ならば刑罰はどのくらいかだ。



 よく「素人が人を裁く」という表現を耳にするが少し違うように思う。

裁判員は裁判で示された証拠証言(のみ)を元に有罪か無罪かを判断する。新聞やニュースから得た情報/印象で「被告は絶対有罪だ」と確信していても、検察の有罪立証が十分で無いと思ったら「無罪」の評決を行わなければならない。

 有罪が立証できなければ無罪とするのが日本の刑事裁判の大原則なのだから。

となると、裁判員が裁くのは「検察の主張」であって「人」ではない。裁判員がいくら被告個人に対して真っ黒な確信を持っていたとしても、評決はあくまで裁判の中、検察が有罪を立証できたか否かで判断する。



 量刑は過去の同等の犯罪と同等であるべきなのだから裁判員の裁量が入るのはおかしいと思った。
「相場」より大きく離れた量刑か出た場合、裁判官による「矯正」が入るのなら裁判員に量刑を決めさせる意味が無いだろう。

 しかし、それは誤解だった。元々仕組みとして裁判官が出した量刑を中心に、裁判員の判断が多少±させる程度にしかならないような仕組みになっている。裁判員が極端に重い(あるいは軽い)刑を科そうとしてもほとんど意味が無い。

 裁判員心理的負担は実はそんなに重大ではないのかもしれない。本人がそれに気づいていないだけで・・・