SIMロック解除に期待しすぎか

総務省SIMロックを無くす方向に持ってゆこうとしているようだ。新聞やTVなどの一般のマスコミも肯定的で料金が下がることが期待出来るような内容が多い。しかし、一般紙やTV以外では疑問視する向きもある。各社携帯電話会社の社長もイヤとは言わないが言葉の裏にイヤそうな気配を漂わせている。


 海外の(いわゆるガラパゴスでない)一般的な携帯電話は通話とSMS等の基本機能以外はほとんど機能がない。これらの基本機能は共通規格化されているので異なる携帯電話会社のSIMカードを挿しても使える。それ以外の機能でも電話帳、メモ、カメラ等の電話機単体で動作する機能はSIMカード無しでも使える。


しかし日本の(いわゆるガラパゴス)携帯電話はキャリアのインフラに依存する機能や、キャリアが独自に規格を作った機能が多い。iモード的な機能やアプリ類などがそうだ。これらの機能は異なる携帯電話キャリアのインフラでは機能しない。例えばドコモの端末にソフトバンクのSIMを挿してもソフトバンクの独自コンテンツ利用出来ず、インフラに依存する機能で使えるのは通話とショートメールくらいだ。AUに至っては通信方式が異なるので通話も出来ない。
 つまり通話とSMSくらいしか無かった初期の携帯電話と異なり今時の携帯電話のSIMロックを解除してもユーザのメリットは小さい。そのようなことを論拠にSIMロック解除に消極的な発言をする社長もいるが、それなら、それこそSIMロックは無用だろう。  



 SIMロックを解除するとなると、今度は解除することによる利用者のメリットに話が及ぶ。SIMロック解除してキャリアを変えるとキャリア依存機能/サービスが利用出来なくなり利用者にデメリットが多いなどとなるとSIMロック解除する意味が無い。だからSIMロック解除が実現すれば、その次の段階としてサービス/機能のキャリア非依存化が求められてくるだろう。
 今はキャリアが運営する公式サイト内にサードパーティーが出店し代金回収をキャリアが代行するようなイメージになっている。キャリア依存のサービスだからだ。それがキャリアに依存しなくなるとサイトはオープンになりサイトの出店料や代金回収代行の手数料収入が入らなくなる。 たとえばアップルのiTuneSTORE。iPhoneでコンテンツを購入してもソフトバンクに手数料は入らない。(iTuneSTOREがオープンだと言っているのではない。キャリア非依存という意味)
つまり次のようなシナリオが予想出来る。


 SIMロック解除→コンテンツ/サービスのキャリア非依存化→キャリアによるコンテンツ消費者の囲い込みの崩壊


日本の携帯電話会社は単有る通信インフラ会社(いわゆる土管屋)になることを恐れているのかもしれない。