iPhone4のアンテナ問題

 アップルが問題を認めたことは地方新聞にも載った。当日CNNが流したジョブスの会見を録画して観てみた。が、英語は弱いので、その後の各メディアの報道内容を総合してみた。

 iPhone4には3つの不具合がある(一般の認識として)。



(1)電波強度表示の問題

本当は弱い電波しか届いていないのに「強い電波が届いています」とイイカゲンな表示をしてしまう問題。
これはアップルが修正番のソフトウェアを出すことで解決出来るようだ。



(2)持つ位置によって電波の状況が悪化する問題

電波の知識を多少なりとも持っている人間の常識では、無線機器の内蔵アンテナは機器の上部についているものと考えている。私もそれが常識だと思っていた。
しかし現実世界ではそれは「常識」ではないらしい。せいぜい「良策」程度のようだ。
以前私が使っていたソフトバンクスマートフォンX02-HTには、内装アンテナが本体の下の方にあるのでその辺を覆うような持ち方は避けるようにという注意書きがあった。



X02-HTのアンテナ位置に関する注意書き


この件についてはジョブスの「うちだけの問題じゃない」発言は正しいし、不具合と呼ぶほどのものではないだろう。しかしX02-HTがちゃんとユーザに注意喚起しているのに対して、アップルの態度はユーザに優しくない。



(3)無線アンテナの導体部が外部に露出しており、しかも自然に持てば人体がそれに接触し回路をショートさせアンテナの性能を大幅に削いでしまう問題。

アンテナそのものは電気を通す導体であり、これに人体その他の導体が接触するとアンテナの性能に大きな(往々にして悪い)影響を及ぼす。
だから無線機器に外部アンテナを付ける場合は、偶然に人体などが接触しなようなデザインにする。これも私の知る限りでは「常識」のはずだった。



外部アンテナを持つ無線機器のアンテナ導体露出部


だがアップルは、おそらく技術者はその重要性を知っていただろうがデザインの最終決済権を持つ人物がそれを軽視したのではあるまいか。
私の感覚ではこれは「構造上の欠陥」だが、それを認めてリコールなどしたらどんなことになるか「トヨタの一件」を見た後では英断は下しにくい。さらに一旦欠陥を認めたら、今度はほぼ自動的に「欠陥を知っていながら隠蔽した」疑惑に発展する。アップルとしては絶対に「欠陥」は認められないのだ。だから「欠陥ではない」と強くつっぱねる。にも関わらず問題解消の為ケースを無償配布する。矛盾しているようだが仕方ない。とにかく沈静化をはかりリコール問題に発展させないためには何でもする構えだろう。



今回のiPhone4アンテナ問題は以上の3点なのだが、アップルの幕引きシナリオではどうも問題は2点であるかのような演出で問題のパーシャル化を図っているように思える。

(次回に続く)