内閣不信任決議では駄目

 菅総理の続投はだれにとっても不幸だと思うが、民主党の一部と野党が組んで内閣不信任決議を画策するのは良い選択肢だとは思えない。 真の目的は「菅下ろし」ではなく、菅よりまともなリーダーへの移行であり、よりまともなリーダーの元でのより良い原発対策、復旧復興、そしてその先だ。菅を下ろせばなんでも良いというものではない。
 民主党の一部と野党が組んで内閣不信任決議がもし成功したとしてその先はどうなる。野党が無力なことは変わらない。それに加えて与党もグチョグチョでは菅の後にどのようなビジョンがあるというのだ? 内閣不信任決議否決されたらさらに事態は悪い。菅内閣は信任を受けたとしてその言動は今まで以上に不幸の度を増すだろう。 内閣不信任決議による菅下ろしは成功しても失敗しても、国民にとっても誰にとっても不幸だ。



 鳩山内閣から菅内閣へ移行したときと同じ手を使おう。あくまで民主党内で党の代表の交代という形でリーダーの首をすげ替えるのだ。今の菅内閣が誕生したときと同じ手順だから、この手順そのものを問題にすることは今の内閣、民主党執行部にはできない。 内閣不信任ではその後のビジョンがカオスだが、党代表の交代なら、その先のシナリオも党内で書くことができる。現在の菅内閣支持勢力は菅氏自身を指示を支持するというより民主党政権を守るために内閣不信任決議に反対しているのだ。菅内閣の後も民主党政権が存続できるのなら「菅」に拘る人はほとんどいないだろう。

 まず民主党代表の首をすげ替え、その後、総理大臣の首を新しい民主党代表にすげ替えれば、空白無しにスムーズに移行できるし民主党の分裂は避けられるから移行後の政権運営はそれなりにスムーズにゆくだろう。



 民主党政権そのものを排除したい気持ちは分かる。だが今それをやっても、より良い「受け皿」が無い。衆議院過半数を占める勢力は? 現実に民主党議席が多いのだから民主党政権打倒を叫んでも仕方あるまい。それに、有権者は自分達の投票行為(含む棄権)の結果である現政権に責任を負うべきだ。



 だが、2つ問題がある。1つは民主党代表の交代劇をいかに発動させるか。菅氏に健康上の問題が生じるとか。
 もう一つは、誰が次のリーダーを引き受けるか。これは党代表交代劇でやろうが、内閣不信任決議でやろうが、避けては通れない問題だ。誰か居るのか?