死なない程度にガンばってん(1)

 胃ガンであることが分かったのはちょうど一年前、6月の第二週。ちょっと振り返ってみる。



状況

胃カメラ、CT、MRI胃カメラ時に採取した組織サンプルの検査で胃ガン確定。発見が遅く大動脈リンパ節と肝臓への転異も。検査した消化器専門医の話しでは余命を考えるレベルとか。その後ガン専門医へ引き継がれる。


 複数個所への転異にまで至っていれば、検査で発見できない未成長の小さな転異が存在する可能性はとても高い。従って発見できている箇所だけ処置しても再発する可能性が高い。私の場合はその可能性がかなり高いようだ。

選択肢

(1)手術による摘出

分かっているだけで3箇所。摘出するのは体に相当な負担でリスクも高い。手術に成功しても、その後、未発見の小さな転異が成長し「再発」するだろう。リスクを犯してやるメリットは無い。


(2)ナントカ線照射などの高度なピンポイント治療

ピンポイント的にガンを攻撃する処置。今回の私のガンの場合は範囲が広くて効率が悪い。それに所在不明な未発見の転異には全く効果が無い。


(3)投薬/点滴などによる化学治療

 全身に薬が回るので未発見の転異ガンにも効果が期待できる。副作用も多いが今回の私のガンの場合はもう他に選択肢は無いのだ。


しかし、まずい事がある。ガンは胃の噴門(入り口)にあり、変形して胃の入り口を塞ごうとしている。時々水さえも食道につっかえ、吐き出さないといけない事もある。状態は時とともに悪化している。

直ちに治療を開始し、胃の入り口がが塞がるのを防がねばならない。もし塞がってしまうと投薬治療そのものが行えなくなってしまう。そうなったらもう打つ手が無い。
無茶を承知で手術するか、食事も出来ず点滴で栄養補給しながらベッドの上で懺悔の日々を送るか。


 もはた猶予は無い。その病院でも良かったのだが、ちょうど治験に合うものがあることを見つけてくれ、即「九州がんセンター」へ紹介された。

治験とは、新薬や新処方のフィールドテストみたいなもの。患者は製薬会社の実験に協力している形になり、通常は高価な薬代が製薬会社負担になるので患者は経済的にとても助かる。しかも新薬/新処方は従来よりも高い効果が期待できるからこそフィールドテストまで漕ぎ着けたのであり、より良い結果が期待できる。反面、実施の絶対数が少ないので未知の副作用に遭遇するリスクは高いかもしれない。