ユーザインタフェースの一貫性を捨てた?

アップルはiPhoneOS 3.0でようやくコピー&ペーストをサポートしました。
ベースになっているMacOSには実装されている機能です。それをiPhoneOSにも適用するのにアップルの技術力なら全然難しいことではありません。
なのに何故2年もかかったのでしょう。

私は、ユーザインタフェースの一貫性が崩れることのインパクトを和らげたかったのではないかと想像します。



もともと(マッキントッシュの頃)からマウスのクリックしたまま引きずるドラッグ操作はテキスト上では「範囲選択」でした。マウスがトラックパッドになってクリックがタップになってもそれは同じ。マッキントッシュに限らずほとんどのパソコンOSやスマートフォンで、その操作は「範囲選択」でした。

ところがアップルはiPhoneOSでドラッグ操作を画面のスクロールに割り当てたのです。



これにより従来のシンプルなドラッグ操作では範囲選択が出来なくなりました。

範囲選択が出来なければコピー(カット)できない、コピーできなければペーストも出来ないというわけです。



そこで新しい範囲選択の操作方法が採用されました。



画面をタップしたまま少し待つと選択モードに切り替える吹き出しが出ます。そ「選択」を選ぶと画面は選択モードになり、ドラッグ操作がスクロールから範囲選択に切り替わります。

手間が多いような気がしますが実際にやってみるとそれほどでもありません。

従来の範囲選択では選択範囲の終了位置の変更は可能でしたが開始位置の変更は出来ませんでした。しかし、この範囲選択モードは開始位置の変更もできます。
これは太い指先でタップすると目的の場所に正確にカーソルを置くのが難しいiPhoneの欠点をカバーする意味でも有効ですが、そうでなくても便利な機能です。今後パソコン(MacOSX)に導入しても良いと思います。


もしかしたらウワサだけが先行している、iPhoneとMacBookAirの間を埋めるタブレットPCのようなものに採用するのが本命かもしれません。
アップルはユーザインタフェースの一貫性を捨てたのではなく、新しいユーザインタフェースへ慎重に移行しようとしているのだと思うのです。