サムタイパーの憂鬱

 今回の入院でいろいろ試してみた結果、ネットをダラダラ受身で利用する際はタブレット端末で十分だっだ。画面は大きければ大きいほど見やすいと思うが、病院のベッドで点滴のチューブにつながってという環境下では7インチくらいが見易さと取り扱いやすさの妥協点だろう。これがリビングのソファの上なら10インチにiPadが理想的なのだろうけど。

 だが、こちらから発信しようとすると、タブレットはきつい。キーボードが欲しい。ハードウェアのキーボードだ。病院のベッドの上という不安定な場所。片手に点滴のチューブという不自由な状態ならばこそ、安定した入力装置が必要だ。



 入院中にNECからモバイルギアシグマリオンの後継のようなモバイル端末が発表された。

LifeTouch Note
NECのキーボード搭載Android端末「LifeTouch NOTE」

だがこれは駄目だ。シャープのNetWalkerのときもそうだった。キーボードのキートップ面が平らに並んでいるようなキーボードは駄目だ。(ついでに言うとauのis01も同様だ) 真ん中あたりのキーを1つ押してみるといい。するとそこは四角く穴が開くような感じに窪む。そして指をその穴の中に差し込むような感じになる。穴の縁にあたるのは周囲のキートップだ。この状態では穴になしこんだ指が縁に触れそうになる。触れれば2つのキーを同時に押したことになり誤入力となる。これを防ぐには指を真っ直ぐ(キーボードに対して垂直に)して押さねばならない。
(2本の親指だけを使うサムタイパーには特に難しい)



キーが大きい方が押しやすいという「誤解」があると思う。新しいモバイルPCが発売されるとキートップの大きさなどが細かくレポートされるが、誰かキートップが大きい方が良いと決めたのだろうか? 
「キーが小さすぎて押そうと思ったキーが押せなかった」なんて話しは聞いたことが無い。小型のキーボードで問題なのはキーが押せないことではない。小型のキーボードで防がなければならないのは押そうと思ったキーの隣のキーも押してしまうことだ。これを防ぐにはキーとキーの間隔を広くすることだ。キーボード全体のサイズが決まっているならキー間隔を広げることは個々のキーを小さくすることになる。だが、それのどこが悪い?
指先が痛くて押せないほど小さいのは論外だが、キーは今よりもっと小さくても何の問題も無い。指先がキーを包むような感じになっても、全然問題ない。要は隣のキーとの間隔が適切に取られていることだ。

会計事務所の大型卓上電卓でもそんなに大きなキーは使っていない。電卓とコンピュータのキーボード同列に論じるのはおかしいか?いや、電卓だろうとコンピュータだろうとキーを押す側の人間の指は同じだ。

モバイル端末を多数出しているシャープなら、その辺の事は十分承知していると思っていた。過去の端末を見てみればWillcomW-ZERO3(初代)やイーモバイルのEM・ONEなどキーを小さくし、キー間隔を広めにとってある。だが、このタイプは設計/製造工程でコストがかかるのだろうか?W-ZERO3の場合、次のW-ZERO3 esでは採用されたが、その次のAdvanced/W-ZERO3[es]では採用されていない。それでもAdvanced/W-ZERO3[es]ではキートップ中央を盛り上げることでキー間隔を広くしたのと同じ効果を狙っている。
 シャープには分かっているのだ。大切なのはキーの大きさでなくキーの間隔だということが。
 それだけにNetWalkerIS01にはガッカリさせられた。