死なない程度にガンばってん(3)

 がんセンターでは、まずえらい先生に見てもらった後、すごく若くてすごく綺麗な女医先生が担当医となった。すごく若いことに不安を感じないわけではないが、なに、イザとなれば背後のえらい先生が出てきてくれる。大丈夫だ問題ない。
 さらに治験コーディネータの担当者も若くて感じのよい女性。二人とも医療従事者らしく化粧っ気が薄く好感度抜群で死ぬ前から天国に来た気分。残念なことに2人とも異動で他所へいってしまい、もうお合いすることも無さそうだ。残念

 それに引き換え、病院の建物自体は随分と古臭い。今時これほど天井が低く通路が暗い病院はいまどき無いだろう。まごう事なき昭和だ。診察棟も入院棟もあらゆるものが古臭い。だから、ナースもベテラン揃いだ(つまり若いナースが居ない)とばかり思っていた。(よく考えると根拠薄弱だが、建物の印象からそう思い込んでいた)。

 だが実際には若いナースが多い。新しい人を育てなければならないのは当然だが、意外なほど若いナースばかりで、ベテランと感じるナースはほんの一握りしかいない。 錯覚か?ただ自分が歳をとったので他人が全て若い新人にしか見えないだけか?そうかもしれない。そうでないかも知れない。

 私が入院したのは消化器系ガン患者の棟階。あまり緊迫感を感じない患者が多い。ベテランのナースはもっと重篤な患者の棟階に重点配置され、ここには経験の浅い若いナースが多く配置されていたのかも知れない。とにかく建物が古臭いのにナースが若い人ばかりなのは驚いた。

 しかし建物や設備は本当に古臭い。昨年入院したときはベッド脇のテレビはブラウン管で冷蔵庫は無かった。徐々に改善され今年入院したときは液晶テレビと小さな冷蔵庫が備わっていた。だがトイレの狭さ少なさ改善のしようがない。大用個室は元々狭い上に、ウォシュレットや便座洗浄薬剤のボトルや手すりが後付で設置されさらに狭くなり、点滴スタンドを連れてはいると中で方向転換ができない。点滴スタンドを扉の外に出しておくがストッパーが無い。ここに高齢の患者がフラフラ出入りするので危なっかしい。扉の外側も狭いので接触の恐れが常にある。土日など見舞い客が多いが元々トイレが少ないので用を足す見舞い客の後ろに入院患者が順番待ちをすることも少なく無い。改善を強く望むところではあるが給水排水の配管が必要なトイレは、病室のテレビとは違いそう簡単にはできない。おそらく建て替えまで改善されること無いだろう。